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「たくさん作れるのが学校給食のおもしろいところ」 葉隠勇進 岩渕 志乃さん、村松 美紅さんインタビュー

インタビュー:責任者 岩渕志乃チーフ、副責任者 村松美紅さん
※葉隠勇進では責任者を「チーフ」と呼びます。

 

都内にある生徒数200名弱の小学校。正門を入り下駄箱を抜けるとすぐ左手に給食室の入り口があります。子どもたちにとっては給食室の中は近いけれども知らない場所。なかなか知る機会のない学校給食の舞台裏について、日々安全安心でおいしい給食を子どもたちに届ける葉隠勇進社員の岩渕さん、村松さんにお話を伺いました。責任者の岩渕さん(左)、副責任者の村松さん(右)

■一日260食は少ない方!新しく作るメニューも多い

 

――給食室は、子どものころ興味があってもよく知らない場所でした。調理員さんは、先生とも違う「給食室の人」という印象。今日は学校給食の裏側を知らない人に、学校給食のこと、調理員さんのことを知ってもらえたらと思います。

 

岩渕:よろしくお願いします。給食室ってたしかに謎めいているところがあるかもしれないですね。子どもたちも給食室の中に興味があるようで、給食室の中が見えると「あっ給食室見えた―」とか「給食室ってこんなに広いんだー」とか声をあげてくれます。

 

――興味津々でしょうね。こちらの小学校では毎日どれくらいの食数を作っているのですか。

 

岩渕:食数は先生を入れて260食ほどです。他の小学校と比べたら少ない方です。その分、葉隠勇進の特長でもある「ひと手間」の工夫を加えることができています。例えば「お日様ゼリー」というメニューがあったのですが、見た目には「お日様」がわからないので、せっかくだからとカップ一つずつにお日様の絵を描いて、食べ終わったら出てくるようにしました。

七夕に出したフルーツポンチに入れるゼリーもただ出すのではなく、星形やハート型に工夫をしたり、配缶する際に天の川を表現したりしました。クリスマスのときには、「クリスマスピラフ」という献立があったので、「クリスマスっぽくしてみましょう」と栄養士先生に相談をしてニンジンをクリスマスツリーの型抜きをして出しました。

 

――260食でも多いと感じますが、学校給食では少ない方なんですね。

 

村松:そうですね。前の小学校では570食くらいの食数でした。食数が少ない分、多いところではできないような初めて作るメニューも多いんです。

 

――学校によっても給食のメニューは違うんですね。

 

村松:違いますね。私は入社5年目で、今年の4月からこの小学校に異動してきましたが、この現場で初めて「ちまき」を作りました。ちまきは工程が多いので、以前いた学校では食数も多く作ったことはありませんでした。

他にも、海外の料理が良く出てきます。オリンピックだからということもあるかもしれません。「モンテネグロ料理」とか「ブラジル料理」とか。各国の料理名は名前を聞いただけではわからなくて、みんなでどんな料理なんだろうって話していろいろ調べながら作っています。学校給食は、こうした新しい料理に挑戦できるという魅力もあります。

 

■たくさん作れるのが学校給食のおもしろいところ

 

――お二人は学校給食の経験は長いのですか。

 

岩渕:私は葉隠勇進に入社して10年目。学校給食は当社が初めてです。それ以前は、岩手にいて社員食堂や保育園などで調理の仕事をしていました。子どもが好きで、子どもに喜んでもらえる仕事がしたいと思い学校給食を選びました。

 

村松:私も学校給食は葉隠勇進が初めてです。前職はホテルで働いていました。ホテルも大量調理ですが、この現場では少人数でたくさんやらなきゃいけないので、大変なところもありますが、たくさん作れるのが学校給食のおもしろいところです。この仕事をやっていなかったらこんなに大量調理をする機会はないですよね。

 

■カレーは手間をかけるほど本当においしくなる

 

――調理をする上でのこだわりはありますか。

 

岩渕:献立自体は学校の栄養士先生が作るので、先生が求めているもの以上に、どれだけおいしく提供できるかを常に考えています。

 

こだわりでいうとカレーが分かりやすいです。カレーは手間をかけると本当においしくなるんです。小麦粉でルーを作るところから始めて、ひたすら練り続けて。玉ねぎはあめ色になるまで炒めたり、ガラを使ってスープも一からとったり、火加減に気を付けることも重要です。あとは入れるスパイスですね。やっぱりあまり入れすぎちゃうと子どもが好きな味にはならないので。

ちょっとしたことなのですが、その一つ一つの「ひと手間」で結構味が変わります。

 

もっとおいしく作れるという思いもあるので、同じメニューが次出るときにはこんなやり方をしてみようとかは常に考えています。

 

あと初めてつくるメニューは試作をしてこだわって作っています。この前は、「水無月」という和菓子を初めて作りました。京都のお菓子なのですが、みんなどんなものか分かりませんでした。そこで、パートナーさんが試しにお店で買ってきてくれて。それから試作を繰り返して。小豆が見えるようにしたほうがいいねとか、見た目もきれいになるように工夫をしました。

 

■自分が作った料理で、喜んでくれるのがうれしい

後列はパートナー社員のみなさん

 

――ほかの学校と比べて少ないとはいえ、ひと手間にこだわったり、工程の多いメニューを260食も調理するのは大変ではないですか。

 

岩渕:社員は二人しかいないので大変なところはあります。でも、村松さんはホテルでの経験もあるし、初めて作るメニューや初めてやる作業があっても、ちょっと教えるとすぐできちゃうんです。

 

村松:仕事は大変なことはありますが、楽しいです。私はまだまだで、チーフはすごいです。朝、野菜の下処理をやっていたら、いつのまにか終わっていて、他の作業に移っていて、同時進行でいろいろなことをやっている上に、私に親身になって丁寧に教えてもくださいます。

 

岩渕:私もまだまだ経験不足で、学びたいことはたくさんありますが。私が育ててチーフになった人はまだいないので、人財育成には力を入れていきたいと思います。

 

それからパートナーさんは皆さんこの小学校で長いので、学校の先生とも仲良かったりしてとても信頼しています。

 

――子どもたちに食缶を届けるのはパートナーさんなのですね。

 

岩渕:社員の私たちは調理をしているので、外に出ることはあまり多くなく、子どもと直接話す機会も実はあまり多くありません。そのため、パートナーさんが「子どもたちがおいしいって言っていました」と教えてくれます。帰り際に子どもたちに会って「給食おいしかった」と声をかけてくれたりするとうれしいですね。

 

「何をしたら子どもたちが喜んでくれるかな」といつも考えて作っています。自分が作った料理で喜んでくれて、ありがとうと言ってもらえるのがすごくうれしいです。